農業に新風を吹き込む

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インベストライフ会員で、北海道・美瑛在住の田中勝さんから農業と消費者を資本を通じて結びつけようとしているおもしろい人がいるという話を聞きました。すぐに座談会をお願いしたところ快諾をいただけ、3人で対談の運びとなりました。は日本にとって極めて大切であることは誰もわかっていながら、もうひとつ、新しい方向性を見出せない感もある農業ですが、渡辺さんや田中さんの試みは明るい兆しであると思います。お二人のますますの活躍を期待します(この座談会は2009年10月26日に行われた)。

日本における南北地域格差問題

岡本
今日は「消費者資本の導入で農業再生を!」を主張して活動をされている農消資本協会の会長・渡辺清さんと、美瑛で廃校を利用して農業経営研修などさまざまなセミナーを主催しておられる田中勝さんにおこしでいただき、鼎談を行なわせていただきます。田中さんはインベストライフの会員でもあり、2007年の美瑛の廃校利用の最初のセミナーを澤上さん、村山さんとさせていただきました。まず、渡辺さん、自己紹介と活動について少し説明していただけますか?
渡辺
私は東京の板橋の出身で、慶應義塾大学を1987年に卒業後、記者としてNHKに入局しました。最初の任地が宮崎で、さまざまな事故、事件の取材をしていました。
1989年にオレンジと牛肉の輸入自由化があり、温州ミカンの減反が問題になりました。その取材をしたのですが、それが私と農業とのつながりの始めだったんです。
岡本
なるほど。
渡辺
私も先進国と発展途上国の間の格差という意味で、南北問題ということは教科書的には知っていました。しかし、まさに東京と宮崎の間にも大変な南北問題があるわけです。たとえば縫製工場が企業進出してくると、その落成式などに取材にいくわけですね。正直言って、「え?まだ、縫製工場なんてあったの? 誘致することに意味があるの?」という感じでした。やはり、国内の地域格差を嫌というほど感じました。おそらく北海道でもそうだろうと思います。
田中
本当にそうですね。私の生まれは新潟県の長岡ですが、30数年証券会社に勤めた後、06年から北海道に居を移しました。
こちらのスーパーマーケットで扱っている商品を見ると、生活が質素というよりもできるだけ支出を抑えるようにしているのがわかります。例を挙げると、牛肉が少なく豚肉や鶏肉が多いのです。今でも格差があることに気づかされますね。
渡辺
そんなことを経験しながら、格差や農業に対する問題意識が芽生えていきました。
話を戻すと、温州みかんは減反で木を切ってしまったわけです。ところがいま、20年の歳月を乗り越えて再生したのです。どうやったかというと、「太陽のタマゴ」というブランド名をつけた1万円もするマンゴーを作り始めた。温州みかん1個は10円ぐらいでしょうか。果物の種類は変わりましたが、10円から1万円になったわけですから、まさに国際競争力を保ちつつ復活してきた。
さくらんぼの佐藤錦などは宮崎にはないですが、同じような例ですね。アメリカン・チェリーはひと山いくらで売られているが、佐藤錦は200個=5000円とかで売られている。そんなところから農業は捨てたものではないと確信した。競争にさらされると農家も必死になって再生してくる。それがこの20年の実体験として学んだことですね。
岡本
なるほど、その通りですね。危機に瀕することでサバイバル力が顕現化する。これは農家だけの話ではない。