農業に新風を吹き込むp4

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渡辺
コンセプトを紹介し、アドバイスを与えています。大切なことは、消費者が日本の農業を大切だと考え、農社を応援するつもりで資金をだしてもらうということです。北海道から農業がなくなっては困る、それでは私も少し出資して応援しようという心意気ですね。
田中
そして、できてきた産物を実際に自分が食べるというのもうれしいですね。
渡辺
消費者の視点を持ったカネの出し手という点が重要なのです。北海道や沖縄でおカネを持っている人がいる。そのおカネは農協に預けられるのですが、それは農家に貸されるのではなく、農林中央金庫に集められ投資をされる。それでサブプライム・ローン関連の商品を買ったりして問題になりました。
岡本
発行している債券はいわゆる有価証券なのですか?
渡辺
そうです。債券として50人未満の少人数を対象とした私募債ということになります。いまやっているのは一口20万円です。つまり、年に2回、5キロの米が送られてくるわけです。募集要項にも、クーポンはゼロでノンディスカウント、ただし優待として年5キロの米を2回送りますということになっています。
岡本
募集はどのような形態で行なわれるのですか?
渡辺
当然、私募ですから不特定多数に勧誘することはできません。普通は農社の社長の知り合い、友人、取引先などに声を掛けるところから始まります。年に1?2回、農社の社長を囲んでセミナーというか、まあ、飲み会を行い知り合いになってもらう。このような形で口コミで広まってゆきます。
岡本
出資先農社を訪問するなんていうのも楽しそうですね。
渡辺
ええ、山梨の桃の農社ではゲストハウスを作り、出資者に遊びに来てもらったりしている。このような交流もあります。

北海道の農業の問題

岡本
北海道ではどうなんですか?
田中
いまの状況からして、北海道では農業の大規模化をせざるを得なくなってきています。先ほどの渡辺さんの話とも関連しますが、基本的に売られる農地は地元の農家が買います。農業改善組合という組織があり、農地を売りたい人がいると買いたい人を探してくれる。取引値段もその組合が決めてきました。今まではそれでうまくいっていたのですが、最近は離農者が増え、地元だけでは買い手が見つかりにくくなってきています。少し離れた人に売ることが増えると、地域でお互いに助け合って協力するという構図がうまくいかなくなってきています。
岡本
日本の農業は共同作業的な面が強いといいますがその背景は?
田中
cate02_photo03.jpg なぜ、米作りのために地域の結束が必要かというと、まず、田植えの時期はみな同じです。下から順番に田植えをしていってもらわないと困ることになる。水回りの問題がありますからね。同じ水を使っているので上のほうで変な農薬を使われると困る。だから結束が優先されていて、知らない人に入ってもらうと困ることになったわけです。だから部外者を排除していた。
しかし、米の減産で畑作に変ったり、止むに止まれず地域外の人に農地を売ったりするということもでてきた。その点で結束が崩れてきて、みんなが自由に行動するようになってきている。そうなって一番困っているのが農協です。これまでのように農協が農家を統制して、生産体制を作り、農薬や、肥料の供給、販売などもしていたのが難しくなってきている。
岡本
なるほどね。
田中
もうひとつの問題は高齢化です。いま、農家の平均年齢は65歳です。この現実のなかでさらに離農者は増えるでしょう。いまの生産体制はまあ、あと10年しかもたないでしょう。結局、農地を売るケースが増えます。いまの農家が規模を拡大するために売りにでた農地を買うには、当然ファイナンスが必要です。そこで彼らはいま非常に困っている。というのは、農協のカネを借りるか、国の制度金融を借りるかしかないわけです。しかし、「設備資金は自己資金で」が事業経営の基本です。農家が農地を借入金で買うというのは経営体質として弱いものになってしまう。いま、ちょうどそんな時代の変わり目にあるので、渡辺さんの目指す方向に一気に向かっていくことになるのではないかという気がしますね。

これからの農業の構造改革は?

岡本
そうすると、やはり農社が必要とするのは債券ではなく株式ということになるのではないでしょうか?
(→次頁へ続く)