
生命保険料を計算する一番の大本となるのは生命表です。生命表(=死亡表)は、一国の国民全体を対象とした国民表(わが国では厚生労働省が人口統計を所管しているので厚生表とも呼ばれています。厚生表には完全生命表と簡易生命表とがあります)と、生命保険会社の統計をベースとした経験表に大別されます。日本の生命保険会社は、現在、日本アクチュアリー会が作成した経験表である生保標準生命表2007を基本データとして使用しています。
ところで、生命表について経験表と国民表を比較してみますと、常識的には経験表のほうが死亡率が低くなるはずです。なぜなら、生命保険会社は生命保険契約を締結する際に危険選択を行い、たとえば病気の人を排除しているからです。ところが、現実の経験表(生保標準生命表2007死亡保険用)を見ると、国民表よりも死亡率が逆に高くなっています。これは長寿化のスピードなどを勘案して、生命保険会社の経営を安定させるため日本アクチュアリー会が経験表の死亡率(元データ)を補整しているためです。
加えて、日本アクチュアリー会は3つの経験表を使い分けることによって、さらに経営の安定度を高めています。この3つの経験表による差を実際の保険料で示してみましょう。
実は、期間1年の死亡保険の純保険料は、生命表からごく簡単に試算できるのです。国民表によると30歳男性の死亡率は、10万人に対して0.00074です。つまり、たとえば10万人に対して向こう1年の間に74人が亡くなると予想されているのです。保険金を1000万円とすると、死亡保険料は次式で容易に7400円と計算されます。これを「対(死亡保険金1)万(円)7.4円(の保険料率)」と呼んだりしています。
ついでに生存保険料も計算しておきましょう。(生存)保険金は同じ1000万円とします。74人が死亡すると1年後の生存者は99,926人となります。
すなわち生存保険料は999万2600円となります。この生存保険料と死亡保険料7400円を足すと保険金1000万円と同額となりますが、これは実は当たり前で、全員(死亡者+生存者)に1000万円を支払うのですから、保険料と保険金が等しくなるのです。
このように死亡保険と生存保険は同じ生命表から作られる、いわば表と裏の関係にあります。また、ここから死亡保険はレバレッジ(掛金VS保険金)が高くて魅力のある商品であり、生存保険はレバレッジが低くてほとんど貯金類似の商品であるという特性もよく理解できるでしょう。