生命表を勉強しようp2

(→前頁のつづき)

以上の例から明らかなように、死亡保険は死亡した場合、生存保険は生存した場合にしか保険金が支払われません。この意味で、生命保険は基本的に(保険事故が起こらない限り)「掛け捨て(保険)」であるという本来的な性格を持っているのです。

これに対して、経験表を使えば死亡保険料は次のようになります。

  • 死亡保険用 :8,600円(国民表より16%割高)
  • 年金開始後用:4,800円
  • 第3分野用 :4,000円

これは、死亡保険では国民表以上の死亡が発生しても生命保険会社の経営が耐えられるということです。すなわち、86人が死亡しても収支トントンになるということですが、国民全体でも74人しか亡くならないうえに、病気の人には生命保険の加入を断っているのですから、通常であれば死亡者はさらに少なくなるはずです。また、医療保険では、国民表の半分程度しか死亡が発生しなくても医療給付が行えるということを意味しています。すなわち実際には74人が亡くなると予想されているのに、40人しか亡くならず、生存者が多くても(つまり、病気になる人も多くなっても)きちんと支払いができるように計算されているのです。

複雑になるので保険料の計算過程は省略しますが、60歳の女性が一時金で1000万円を支払い、60歳から終身年金を受け取ると仮定した場合(予定利率は1.5%と置きます)、国民表と生保標準生命表2007ではどの程度の差が生じるか、試算した結果を次に示しておきます。終身年金年額が国民表の84%まで減少し、10年で約70万円の差が生じることになります。

  • 国民表:終身年金年額 約44万円
  • 経験表:終身年金年額 約37万円

経験表を複数持つことは諸外国でも行われているようですが、この3つの経験表の補整の程度が適正か否かについては、日本アクチュアリー会(業界)と金融庁に加えて第三者を交えた検証プロセスが今後は必要になってくるのではないでしょうか。市民・消費者の側でも、死亡表の仕組みをよく勉強しておきたいものです。

この記事についての評価

記事のタイトル 生命表を勉強しようp2
評価
コメント