
世界中の人々が景気回復と金融安定化を願っており、各国どこも雇用の確保はじめ経済活動全般の活性化を最優先政策としている。
景気が低迷し、各国が積極的な財政支出拡大と低金利政策を断行しているときは、株式を中心とした投資家の独壇場となる。
つまり、景気が良くなり経済活動が活発化すれば、企業収益は向上し大幅な株価上昇も期待できる。したがって、株価全般が低迷しているいまの間に、株を目一杯買っておくのは理にかなっている行動である。
なにしろ、株価はいつも景気や企業の業績に1年ほど先行する習性がある。買い仕込みをするなら、不況が続いている間がベスト。景気が良くなったころには、もう株価は相当に上がってしまっているのが普通だから。
少し投資経験ある人なら、誰もがこういった株価の先見力を知っている。ところが実際は、景気が本格的な回復段階に入り、株価全般も底値からずいぶん水準を切り上げた段階から、ようやく買い気を高めるのが一般的な投資家パターンである。
現時点でも、やはりいつもと同様の様子見パターンがみられる。世界全体でみても株買いはまだおっかなびっくりで本腰が入っていない。株価そのものは先見力を発揮してジリジリと下値を切り上げてきているというのに。
まあ、われわれ長期投資家は将来の景気回復を見越して、いまのうちに株を目一杯仕込んでおこう。たっぷり買ったら、これから10年ぐらいの間に世界の投資環境がどのように変っていくのかをあれこれ考えながら観察していくのだ。いろいろ起こりそう、すごく勉強になる。
まずは、大量に発行され続ける国債がいずれ値崩れを起こす懸念。債券は金利裁定商品の代表であり、債券価格と金利はいつでも逆の動きをする。だから、国債の値崩れは他の債券価格の下落へと一斉伝播する。同時に、市場金利を上昇させる。
一度この動きが始まると、もう手に負えない。あちこちで保有債券の急ぎ売りが殺到し、債券価格の急落と市場金利の急騰が同時発生する。
といっても、はじめのうちは機関投資家中心に「満期まで保有していれば、額面で戻ってくるから投資損失はこうむらない」と、みな高を括っている。それもあって、債券価格も弱含みや下落基調といった展開が続き、一部では「値下がりしたから少し買っておこうか」といった動きさえみられる。
そのうち、執拗な価格下落傾向と市場金利ジリ高で、債券の下値買い意欲は失せていく。そこから先の国債など債券全般の価格下落は加速の一途となる。「国債だから満期まで保有していれば元本は確実に戻ってくる」といった、少し前までの債券投資家の絶対的な安心感は吹き飛んでしまう。満期まで保有して得られるトータル・リターンよりも、債券値崩れによる評価損の急拡大のほうが深刻となれば、早めに売っておこうという判断に傾いておかしくない。
こうなると大変。もともと債券価格は一方通行的な動きとなりやすいもの。とりわけ、売りが売りを呼ぶ下落相場では悪夢をみるような展開となる。債券価格の下落と市場金利の上昇の両方から保有債券売りを迫ってくる。
株価の場合は債券のような金利裁定部分にプラスして、企業収益の向上による投資価値の高まりが上乗せされるから、値下がりもどこかで止まる。ところが、債券は下落途中で買いを入れる価値判断ができない。なぜなら、唯一の判断基準である金利水準そのものが債券売りによってどんどん押し上げられているのだから。
まあ、そういった債券相場が奈落の底へ転落していく局面はそうひんぱんに発生はしない。一応は頭の片隅に入れておこう。
それよりも、まだ景気の回復がモタついている間に国債の値崩れが発生すると、不況時の金利高・物価高といった現象が表面化してくる。これをスタグフレーションという。景気停滞のなかでの物価や金利高といった経済状況を示す。
スタグフレーションともなると、景況は悪く給料は下がるし、失業率も増加する状況が続いているところへ、物価上昇や金利高が襲ってくるから国民生活へのしわ寄せはきついものがある。