きほんのき 中国視察レポート2

無錫(むしゃく)で

北京、昆明をまわって上海に入り、上海からバスで無錫へ行きました。無錫は江蘇州の東南部、上海からは128?、上海?南京鉄道の中部に位置しています。南は太湖に面し、北は揚子江を背にしています。亜熱帯季節風海洋性気候に属し、四季もはっきりしており、温暖湿潤な気候です。年間を通して東南風が吹き、年の平均気温は15.5℃、雨量も十分にあり、非常に恵まれた土地です。

無錫市の南に接しているのが太湖です。面積はなんと琵琶湖の3倍半。その太湖の北の端で入江のようになっているのが蠡湖(レイコ)です。話は飛びますが紀元前5世紀、春秋時代の末期、呉に敗れた越の王、勾践(こうせん)は絶世の美女、西施を呉に送り込みます。呉王は西施に熱をあげ、呉の国は滅んだといいます。これが「傾城の美女」の謂れです。これを仕組んだのが越の参謀、范蠡(ハンレイ)でした。おそらく国の存亡をかけて范蠡は手塩にかけて西施をトレーニングしたのでしょう。蠡湖は范蠡と西施ゆかりの地なのです。蠡湖の展示館の入口には范蠡と西施のレリーフが飾ってありました。

蠡湖は現在、汚染に悩まされています。周辺地域の経済活動が活発になったうえ、膨大な太湖の汚染が東南の風にのって蠡湖に流れ込んだことが原因だといいます。その結果、2007年にはアオコが大量発生しました。風光明美な観光地がこのようになるのは問題であるということで、滇池と同じような対策が取られています。

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浚渫(大量のヘドロの除去)、生活排水の遮断、漁業養殖の停止、外部の水の導入、生態系の回復、湖岸の緑化が政府の主導のもとに進められています。水質も劣5級だったものが、1年前倒しで4級を達成しています。
無錫でもう一つ注目されるのは無錫新区です。1992年に特別新区として指定され、無錫中心地から6?のところにあります。数多くのグローバル企業が進出しています。日本からも、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝、村田製作所、ニコン、アルプス電気、住友電工など多数が稼働しています。全体の進出企業がすでに1160社あり、そのうち9.5%が日系企業であり、外資中のシェア・トップであるという話を聞きました。上海港、長江など港も近く、空港もたくさんあります。高速道路も整備されています。現在、上海?無錫間は汽車で47分ですが、上海万博までに完成する快速電車ができると25分になるそうです。さらに、上海?北京間の新幹線ができると無錫はちょうど真ん中あたりになり、非常によい立地条件が売りものです。

無錫新区管理委員会との昼食会はまさに市のトップがセールスに徹して、同友会メンバーに企業進出を誘っていました。隣に座った若い女性は日本語がペラペラでした。小学校の時から英語か日本語の選択ができたので、競争の厳しい英語より日本語を選んだと笑いながら話していました。ちなみに中国では小学校1年から外国語教育が始まるそうです。そして、日本の大学院に留学、その後2年間日本で働いて帰国し、いま日本企業の誘致活動をしているということでした。しかも、そのような経歴の人がひとつのテーブルに何人もいるのです。そして、日本企業で興味のあるところがあったらぜひ「私」に知らせてほしいと……。ものすごい上昇志向なのです。若い人も企業も、そのバイタリティーはすごいものがあります。

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