第34回『顧客本位』

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会社は何のためにビジネスを行っているのでしょうか。

 

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そもそも会社が何を目的に事業を行っているかを考えてみることは、企業分析をする上でのもっとも重要な問いかけのひとつです、利益成長、売上増加、シェア拡大、雇用の維持、人材育成、技術開発、環境保全、社会貢献など、人によって答えは様々だと思います。

この質問に対して、現代経営について数多くの名言を残してきたピーター・F・ドラッカーは、次のように明確に答えています。

「事業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である。」(「経営の哲学」 ダイアモンド社)。
現在多くの企業が顧客本位を唱え、顧客の声に謙虚に耳を傾けようとする中で、あえて「顧客の欲しいというモノは創らない」という経営方針で、日本でも指折りの高い収益性を実現している企業があります。

生産工程の効率化のための各種センサーや計測器などを開発するキーエンスという会社は、顧客の生産現場の効率性を深く分析し、まだ顧客が気づいていない現場改善の提案と自社製品開発を行うことで、顧客の企業活動の付加価値を向上させることをミッションとしています。

世の中のありようまでも変えていきたいと新たに生み出される製品のひとつひとつは、生産現場での加工精度アップ、品質向上、加工不良削減、廃棄部材削減、トラブル防止、工数削減、時間短縮、コストダウン、納期短縮、省エネ、安全確保をもたらし、顧客の生産性と収益性を高めることに貢献していきます。生産現場の強化と高度化は、産業の空洞化を食い止めることにもつながるでしょう。

「顧客の欲しいモノはつくらない」という経営方針を既に表面に現れたニーズを追っていたのでは、真に顧客の役に立つ製品は生み出すことはできないというプロとしての流儀を示したもので、実は顧客本位の真理をついていると思います。

以前に新大阪駅に近い本社ビルに取材のため訪問したときのこと。明るい陽射しが差し込む白い大理石フロアにある受付から応接室へ案内される途中に、恐竜や三葉虫など化石の展示をいくつも目にしました。これらは環境変化に適応できずに時代に取り残されて化石となった生物を教訓にしたもの。会社がそうならないように、いつも変化を先取りし、自ら進化を続けて生き延びていくための自戒のメーッセージとうかがいました。

顧客本位の基準の高さが、私の心に響きました。

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