日本株式の「潮目を読む」

この記事は筆者の個人的相場観について述べたものであり、筆者の担当する投資信託の運用とは一切かかわりがないことをお含みおきください。また、ここに書かれた内容は投資行動の推奨を目的とするものではありません。あくまで投資判断は読者自身で行ってください。

長期投資で有望な高配当利回り株

最近の日本株式市場で、通信・電力など、高配当利回りの公益株の下落が目立っています。たとえば、NTTドコモ。株価下落により、予想配当利回りはじりじり上昇し、ついに4%に達しました。それでも配当利回りを評価した買いがなかなか入ってきません。

一方、世界的な景気回復期待を背景として、東芝など半導体関連株は上昇が続いています。株価バリュエーションから見るとすでにかなり割高ですが、それでも利益モメンタムを重視する投資家からは、「半導体関連株の中核、東芝ははずせない」との声が聞かれます。

私は、来年前半までの短期投資を考えると、景気敏感株のほうが高いパフォーマンスになると予想しています。ただし、そこから先の長期投資を考えると、景気敏感株には不安があります。長期投資で安心感があるのは、不況に強い高配当利回り株のほうだと思います。

(1)日本株は世界景気回復をまだ十分に織り込んでいない

世界的に景気回復を示す経済指標が増えてきています。それでも、来年以降の景気を不安視する人がたくさんいます。景気回復が、世界各国がなりふり構わず実施している巨額の財政出動と超金融緩和によって引き起こされていることが懸念されています。「100年に1度の不況のあとは100年に1度の急回復」となっている世界の製造業が、来年早々、景気刺激策が出口に向かうとともに「まさかの急失速」に陥ると予想するアナリストもいます。

私は、世界景気がはっきり回復するまで、世界各国の景気刺激策は続けられると予想しています。米国景気は、景気刺激策の効果プラス循環的な回復要因もあって、これから回復色が強まると予想しています。日本では、民主党の景気刺激策が本格的に実行されるのは、今年ではなく来年になります。国内景気の底打ち感が出るのは来年になるでしょう。日本の景気敏感株は、こうした回復を織り込みながら、ここからさらに一段高が見込めると考えています。

(2)来年以降に、高配当利回り株の出番

私は、日本の低インフレ・低金利は長期化すると考えています。今後10年、インフレ率は年率1%以下、長期(10年)金利は2%以下かもしれません。そうした前提を置くと、通信・電力などのディフェンシブ株で、予想配当利回りが3?4%もあるものが、見向きもされない現状は異常です。今の世界景気回復が行き詰まり、次の世界不況を織り込む段階では、ディフェンシブな高配当利回りが見直されると考えています。

(3)長期投資では国債格下げにも備えよ

財政赤字の拡大に歯止めがかからない米国では、30年国債の発行残高がどんどん増えています。その現状に対し、「今の米国政府に30年も金を貸す人がいることは驚きだ」と語る投資家もいます。国の借金膨張に歯止めがかからなくなっているのは米国だけでありません。日本も同じです。投資理論の教科書では、国債の利回りを「無リスク利子率」と呼んでいますが、そうした前提が、国債の格下げによって崩れるときがいつか来るかもしれません。国債ばかりに集中投資している投資家は、高利回りディフェンシブ株への分散投資も考えるべきだと思います(2009年10月26日)。

激安株をコツコツ買う局面

7月以降、世界景気が回復局面に入っていることは、ほぼ確実です。アジア・中南米の新興国が好調です。回復が遅れていた米国も、7?9月期はGDPが速報値で前期比年率+3.5%増となりました。

(→次頁へ続く)