リバースモーゲージの活用

先日、シニア産業カンセラーの青木羊耳さんのセミナーに参加する機会があり、おもしい話を拝聴した。定年退職後の60歳から80歳までの自由時間は、1日14時間とすると、14(時間)X365(日)X20(年)=102,200時間になる。現役時の勤労時間は通勤時間などを考慮すると1日10時間ぐらいであり、週5日、20歳から60歳まで働くと、勤労時間は10(時間)X250(日)X40(年)=100,000時間になり、だいたい人生の勤労時間とリタイア後の自由時間は等しくなる。したがって、60歳からの人生は余生というよりも、今まで40年の勤労と同程度の重みのある時間であり、新しい人生の本番と考えて取り組むべきであるという話であった。

リタイア後の充実した生活を送るにはまず健康(肉体的、精神的両面で)が大事であるが、経済的な余裕もきわめて重要である。自由な時間を楽しむために、今まで長年にわたり働いて築いてきた資産をいかにこれから有効に取り崩して使うかが課題になる。お金の出費には消費と投資があり、消費は消えてしまうが投資は将来のキャッシフローの源泉になる。投資には金融資産や不動産などに加え、自己啓発などの人的投資も含まれる。現役で働いている時代は、人的資本から派生する収益(主に給料)が一番安定的で最も大きいが、リタイアすると当然人的資本からのリターンがゼロになる。

リタイア後の主な収入は年金になる。年金には支払い金額が保障されている公的な基礎年金と、厚生年金のほかに企業年金がある。日本航空の年金削減が話題になっているが、企業年金は減額されるリスクが顕在化してきた。確定給付型の企業年金は予定利率が4.5%に設定されているケースが多く、昨今の運用環境では大半の運用基金が積み立て不足に陥っている。また確定拠出の企業年金でも運用成果によっては年金支給額が減少する。

一般的に公的年金だけでは充実した新しい人生を送るのは厳しいだろう。不足分を補うために資産運用に関心が高まってきているが、運用対象は主に投資信託を中心とした金融商品や賃貸不動産である。

余裕のある生活を送るために、自宅不動産の有効活用も包括した資産配分も検討に値する。いわゆるリバースモーゲージを活用して、最適なポートフォリオを再構築する考えである。リバースモーゲージは欧米では普及している。日本ではまだ未成熟であるが、徐々に関心が高まりつつある。住宅ローンの逆の仕組みで、手持ちの不動産を担保にして金融機関などから一定の期間にわたり融資を受ける仕組みである。担保は土地が主体で、融資掛け目は70%である。土地の評価が3千万円で、2千万円を2%で20年間にわたり融資を受けると毎月7万円ほどの手取りとなる。返済は契約者が死亡した時点で不動産を売却して返済する(現金で返済、配偶者が契約延長、リースバックなども可能なケースもある)。 本格的な普及には、中古不動産市場の活性化、マンション、リフォームの担保価値設定、優遇税制などが課題となる。借り入れ金利は長プラが基準であり、金利変動リスク、担保価値の減少などの経済的リスクに加え、長生きリスクもある。

先祖伝来の家を手放すのは抵抗があるが、自分で買った家ならば、子どもには残さないのであれば、生きている間に、有効活用をはかり、余裕のある生活を送るのも一案だろう。また金融資産の運用に際しても、月々の生活費が十分満たされていれば、毎月分配などの投資信託ではなく、長期的なリスクをとり、キャピタルゲインを目指す長期投資も可能になる。Play Now, Pay after Death!

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