
サブプライム・ショック以降、金融工学というと何やらダマシのテクニックのようなよくないイメージがつきまとっていますが、それは「保険金詐欺や保険金殺人があるから保険はよくない」といっているようなもの。金融工学の本質はリスク・ヘッジ、つまり「予想されないような事態に対する保険」であって、まったく怪しいものではありません。今日は代表的な派生証券を解説し、金融工学の意義について考えます。
金融工学は大阪堂島の米市場における先物取引から始まり、今世紀に入ってモダンポートフォリオ理論、オプション、スワップ、と発展を遂げてきましたが、そのどれもがリスク管理を目的としています。先物やスワップの話もありましたが、ここでは日経225のETFを長期投資で持っている人が、一時的に相場は弱いと思った時にどのような対応をすればよいかを紹介しておきます。
「将来のある時点で決められた価格で売ったり買ったりする権利」をオプションといいます。たとえば、この例の場合、プット・オプションという一定の期日に相手に事前に決められた値段で売りつける権利を買うのです。予想通り株価が下がると、ETFの価値が下がりますが、高い値段で売りつけることのできるオプションの価値が上がりますから、損益を相殺することができます。反対に、予想に反して上がってしまったときは、そのオプションは価値がなくなり、オプションの買付価格分を損することになります。これはまさに「保険」と同じ考え方なのですね。
細かいところまで理解するのは大変ですが、派生証券を使って一時的なマーケットの下げに対応することができるということがわかりました。
今回は日本の投資信託の歴史を振り返ってみます。
過去における日本の投信は、バブル期と2003年以降と、大きく残高が増えた時期が2回あります。1998年以降は特に状況がよかったわけではありませんが、銀行の窓販の効果や債券ファンドの人気化などで投資家層も広がり、投信へは継続して資金が流入してきています。さわかみファンドやエコ・ファンドといった特徴ある投信が出始めたのもこのころです。そしてITバブル後は、世界の公益株に投資するグローバルインカム・ファンド、新興国中心に個別の国に投資するファンドなどが増えています。特に外国債券を組み込んで株式投信の形にした毎月分配型のファンドが、投信市場を下支えしました。これは株好きの投資家のためのものであった投信が、個人の資産運用のツールとなっていく過程ともいえるかもしれません。
2度の急拡大期の後を見ると、どちらも市場が暴落、そして投資信託は資金流入も資金流出も大幅に減ってしまっています。この動きの鈍る時期に投資信託の設定本数は増加する傾向があり、その結果強い販売圧力が働くことになります。リーマンショック後、投信の設定数はここ数カ月ですでにショック前の水準に戻っていますが、この新ファンドラッシュも例外ではありません。こうして多数の投信が設定されているということを心に留めて、自分で投資する際には、自分をよく知り、自分を信じ、自分で決める、ということを心がけたいものです。
この後、資産運用に有効なインデックス・ファンドとETFの活用についてアドバイスをいただき、今日のETF市場を巡る諸問題についてもお話を伺いました。
長期投資をするためには、長い時間の流れを通して時代を読むことが重要です。講師の田中氏は、日本の近代の始まりまでさかのぼって語り始めました。